withコロナ時代の医療・医薬品業界はこうなる

withコロナ時代の医療・医薬品業界はこうなる

MR向けの週刊誌『アプローチ』の編集長をしていたころは、年初に"予想"を出すことが恒例でした。
予想した内容を検証しないのがメディアのお約束ですが、2018年の1月に発表した21個の予想について改めてシェアしたうえで、withコロナ時代を踏まえて答え合わせをしたいと思います。

:当たり :ほぼ当たり ×:ハズレとは言い切れないが・・・

1.新薬創出加算の抜本的な見直しにより、薬価が急落した先発医薬品には、プロモーションコストをかけなくなる → 大リストラスタート

:withコロナ時代で医師に会えない状況が続けば、人員削減はさらに拡大します。

2.逆に後発医薬品メーカーが差別化のためにWEB講演会を含めたe-プロモに力を入れてくる。それができない企業は衰退

:WEBに投資する後発医薬品メーカーも増えてきました。WEB講演会は、オウンドメディアの会員を一気に増やせるため費用対効果が高いです。

3.高額な医薬品は"キャズム"を越えるために、これまで以上に"e"に投資する

:キャズムとは、イノベーター理論の5分類の中で、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティーの間の大きな溝のことです。このキャズムを越えないと、その技術(商品)は普及しないと言われています。医療用医薬品の普及に関しても、同様のキャズムが存在すると考えられます。

4.ダブル改定の影響で在宅医療と多職種連携が拡大し、医師との面談機会が減少する

:ポテンシャルが高い医師ほど会えなくなる現象は拡大するでしょう。

5.院外処方せんへの検査値印字などの薬薬連携が拡大するため薬剤師マーケティングが重要になる

:改正薬機法により服薬フォローが必須になる薬剤師をどうサポートするのか。ますます薬剤師マーケティングが重要になります。

6.地域包括ケア病棟でも各種加算が算定できるようになり、地域包括ケア病棟の届出数が増加すると同時に"減薬"の動きが拡大する

:2020年度は、地域包括ケアでない"自院包括ケア"の病院には厳しめの改定になりましたが、高齢患者が多い地域包括ケア病棟では減薬のソリューションが求められます。

7.地域包括ケアへの対応の成否により医薬品卸の利益率格差が拡大する

:医薬品卸各社は、医療用医薬品以外のビジネスを展開・模索しています。利益格差が顕著になるのはこれからでしょう。

8.WEB講演会を実施する製品(主に新薬創出加算対象品目)については、インパクト率などのアウトカムが重視される。

:WEB講演会の効果測定は、これからの課題になりそうです。

9.退院後等のアドヒアランスが重視され薬剤師外来を導入する病院が増える

:薬剤師に限らず看護師外来を導入する病院も出てきています。

10.介護分野で評価される「自立支援」に効果が見込まれる"減薬"が評価され「5種類」以内の投薬割合が急増する

:ポリファーマシー改善のインセンティブが増えたため、動きは拡大しているようです。

11.エリア・マーケティングにお墨付きをもらうために自治体と「連携協定」を結ぶ製薬企業が増える

:数は増えていますが、今後は良いアウトカムを出すことをゴールとしていただきたいですね。

12.大手製薬企業が切り離した長期収載品が値崩れを起こし、その影響で後発医薬品企業の利益が大幅に縮小する

:長期収載品を切り離す動きは拡大しました。

13.「かかりつけ医」の定義をめぐり各地域での議論が活発化する

×:まだまだこれからですね。定義の共有化がコミュニティ活動(モチベーションの向上)には有効なのですが・・・。

14.1つのチーム医療・多職種連携のメンバーに限定した"マイクロ勉強会"が高い評価を得る

:withコロナ時代では集合研修・勉強会がやりづらいため、少人数向けのプレゼンが求められます。最初はオンラインからスタートすることになりますが、1対1ではなく、複数の医療チームメンバーにプレゼンできるMRが勝ち残ると思います。

15.働き方改革の影響でリアル講演会・研究会を削減する動きが加速する

:COVID-19の影響でリアル講演会・研究会は消滅してしまいました。年内は厳しいかもしれませんね。

16.働き方改革で短縮されたMRの労働時間を補うためのソリューションを提示したCSO企業が注目を集める

:オンラインディテーリングがこれに該当しますね。CSO企業にはさらなるサービスの拡充を期待しています。

17.AIを対医師・薬剤師等に活用する製薬企業が増える

:これまでのプロモーションは"MRファースト"でしたが、withコロナ時代は"AIファースト"になります。AIにより処方意欲を高めてMRがクロージングをする流れを構築できる企業が「キャズム」を越えることができます。

18.データヘルスの影響で生活習慣病の重症化予防についてはヘルステック企業に医師への面談機会を奪われる

:オンライン診療など、さまざまなソリューションが生まれています。経営にメリットのある提案なら、医師たちも耳を傾けます。

19.病床再編・診療報酬改定の流れで「再入院率」を臨床指標に掲げる病院が増える

:認知症患者の増加や心不全パンデミックを見越した動きが少しずつ出てきています。製薬企業としても地域のアウトカム改善にコミットしたいものです。

20.経済産業省が導入をもくろむ「仕事付き高齢者向け住宅」やダブル改定による看取りの評価等により"死生観"や"仕事とは"に関する議論が深まる

×:まだまだこれからの議論ですね。

21.優秀なMR・営業所長はますます貴重な存在となり報酬が青天井になる

×:withコロナ時代になり、ますますMRの優劣が浮き彫りになります。医師に"呼ばれるMR"は希少価値が高く、正当な評価を受ける時代が必ず来ると信じています。

いかがでしたでしょうか。ほぼ当たってますね(笑)。

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この記事の執筆者

木村情報技術のコンサナリスト®事業部長。一般向け書籍の三部作、『病院のしくみ』『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。「One Patient Detailing」や「呼ばれるMR」など、数多くのコンセプトを医療・医薬品業界に提示している。

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